私はこれまでの研究生活の中で放射線医学以外の学会へ参加した経験はありませんでしたが、転職を機に他分野の学会に参加するようになりましたので、私が感じた点を記録として残したいと思います。
他分野といっても臨床腫瘍学・呼吸器内科学の学会になってしまうのですが、この1年で国内学会としては第19回日本臨床腫瘍学会学術集会 (https://www.c-linkage.co.jp/jsmo2022/) と第62回日本呼吸器学会学術講演会 (https://www.jrs.or.jp/jrs62/index.html)、国際学会としては現在まさに米国臨床腫瘍学会学術大会 (通称、ASCO; https://conferences.asco.org/am/attend) にオンライン参加しています。開催地としては、国内学会はともに国立京都国際会館、ASCO 2022はシカゴのMcCormick Placeとなっています。どれも放射線関連の学会の開催地として使用されているので実際に私も訪れたことがあります。
私が感じた国内学会と国際学会の大きな違いは会期中にSNS (Twitterなど) を利用して、研究者がInteractiveに議論を行っていることです。例えば、注目演題の内容が#ASCO22などのハッシュタグとともにSNSにアップされ、コメント欄やリツイート機能などを利用して研究者間で積極的に議論を行っています。
まさに国民性の違いとも言えるところかもしれませんが、研究者にとっては発表以外の場でも研究を拡散できる良い機会となっています。日本では、循環器学会が同様の取り組みを行っているとのことを聞いたことがありますが、日本で広まらないのは守秘義務とか情報の取り扱いとかがハードルになっている気もします。
放射線医学と他分野の学会の違いについて、臨床腫瘍学会ではセッションの最後にディスカッサント(その分野の権威や有識者が選ばれる)による発表演題の考察と総括が行われており、研究者のバイアスがない状態での有識者の見解を聞くことができます。これは私の知る限り、放射線医学分野ではあまりない試みかと思いますので将来的には取り入れる余地があるのではないかと感じました。また、放射線医学に関わらず、臨床腫瘍学会でも国際化が進んでおり研究発表は英語のみで行われていました。しかし、英語が堪能な日本人はごく僅かであり、座長と発表者間で質問に対する回答がおかしな場面も多々見受けられました。こちらについては、分野に関わらず英語は継続して勉強していく必要があると感じました。
現在参加しているASCO 2022では我々が行っているような医用画像や遺伝子情報に基づく予後予測の演題がいくつかありました。ASCOはJournal of Clinical Oncologyを出しており、IF=44.5 (2020) を有する学会でもあるので、このような学会にアクセプトされることを目指して研究を頑張りたいと思います。
博士課程2年 Y.M