研究紹介

研究一覧(クリックで詳細な研究紹介)

人工知能(AI)による放射線治療後の治療効果予測ツールの開発

放射線治療では治療前に様々な検査、画像撮影を行っており、これまで多くの症例で治療を行った実績から大量のデータ(ビッグデータ)があります。画像データからはRadiomics解析により呼ばれる数千種類の画像特徴量を抽出できます。この画像特徴量を人工知能で学習させることにより、高精度に予後予測を行うことができます。つまり、治療前の医用画像から治療効果(局所制御、生存)を予測することができるため、今後は治療支援ツールとなる可能性を秘めた研究になります。

研究費:バリアンメディカルシステムズ

共同研究:ミネソタ大学、神戸大学、新潟大学、がん研究有明病院

研究担当:河原、好村、村上、西岡、岡、岸、磯部

細胞シミュレーションによる放射線生物プロセスの解明

放射線治療では直接的なダメージ以外に周辺の血管死による二次的な細胞死もあり生物プロセスは解明されていない点が多い。当研究室ではミネソタ大学との共同研究を行い、細胞レベルで腫瘍へのダメージをシミュレーションし、これまで解明されていなかった生物プロセスを解明し、臨床へフィードバックする研究を行っています。

共同研究:ミネソタ大学、広島大学統合生命学科

研究担当: 河原

人工知能による自動セグメンテーションツール開発

放射線治療では治療計画を立案する上でセグメンテーションという臓器や腫瘍の位置を特定する必要があります。我々は人工知能の技術を用いて自動的にセグメンテーションが可能なシステム開発を行っています。 企業との共同研究としても進めており、本システムを臨床試験などに活用する予定で多くの人に活用できるように開発を進めています。

共同研究:企業、JCOG医学物理WG

研究担当:河原 、西村

生物学的解析と医用画像を用いた新規人工知能システムの構築

医用画像、臨床データから病変の診断や治療方針が検討されてきた。近年では人工知能技術の開発が進み、これらの膨大なデータである“ビッグデータ“の活用が期待されています。

さらに動物などを中心に腫瘍やその周辺の構造を詳細に解析することで生物学的メカニズムが明らかとなってきました。本研究では実際に人体での腫瘍組織を組織透明化技術により解析し、医用画像と合わせて人工知能により解析することで生物医学的メカニズムを明らかにし、病変診断精度、治療予後予測精度の改善を目指します。

本研究はクラウドファンディングを実施し多くの方のご支援をいただきながら進めていく研究になります。

https://readyfor.jp/projects/ransouganaisystem

共同研究:広島大学産婦人科、統合生命学科、細胞分子学研究室

研究担当:河原、堀 、岸

Dual Energy CT(DECT)を用いた造影剤領域抽出システムの構築

Dual Energy CTは放射線診断に導入された画像技術で複数のエネルギーによる撮影で病変診断や病変の質の解析へ期待が集まっている。本研究ではDual Energy CTによって得られる様々な種類の画像(CT画像、電子密度画像、実効原子番号画像、単色X線CT画像など)を活用し、造影剤領域のみを特定することに成功しました。これをシステム化し、造影剤領域のみを抽出可能にしました。病変のみが造影される場合にこれを抽出することで自動診断などへ期待ができる研究となります。

研究担当:河原

共同研究:新潟大学医歯学総合病院(中野永)

造影剤がもたらす放射線増感効果の解明/新規放射線治療システム構築

医用画像撮影において造影剤は撮影時に注入することで病変の特定を目的として用いられてきました。

我々のこれまでの研究で造影剤により放射線増感効果が得られるという研究結果が出ています。

本プロジェクトでは放射線増感効果を定量化し、正確な被ばく線量の把握と放射線増感効果を活用した新規放射線治療の開発に取り組みます。

研究担当:河原

ガンマパス率予測

IMRT 等の高精度放射線治療では治療開始前に線量分布検証測定が行われますが、治療装置の占有時間等の問題から測定結果 (ガンマパス率) を事前に予測する開発が進められてきました。我々のグループでは、独自に開発した線量不確定性積算アルゴリズムを用いてガンマパス率を予測するシステムを開発しました。現在は深層学習を用いたガンマパス率予測システムの開発に取り組んでいます。

共同研究: 産業医科大学、東京女子医科大学

研究担当: 齋藤、河原、松浦

近赤外線カメラによる患者呼吸モニタシステム

胸部や腹部の放射線治療では呼吸により臓器が動くため、患者の呼吸をモニタしながら決まった位置で照射する必要があります。我々は近赤外線カメラの位置校正を瞬時に行うアルゴリズムを開発しました。ベースラインドリフトと呼ばれる呼吸状態の経時的変化を高精度に3次元ベクトルで計測するシステムの開発に取り組んでいます。

共同研究: 大阪大学、千葉大学、企業

研究担当: 齋藤、大橋

3次元色素ゲル線量計用光学CT

ゲル線量計は、3次元線量分布を直接測定できる唯一の線量計として年々期待が高まっています。我々は色素ゲル線量計の読み出しで用いられる光学CTの開発に取り組んでいます。

共同研究: 広島国際大学、広島大学原爆放射線医科学研究所、広島大学病院診療支援部放射線治療部門

研究担当: 齋藤