急に暖かくなってきました。
夏の気配を感じる今日この頃です。
私生活ですが、兵庫県にある放射線治療機器メーカーとのご縁があり、昨年の末に就職してから、早いもので9か月ほどが経ちました。最近ようやく仕事にも慣れてきたかなと感じるようになり、気分転換もかねて、高校時代のように本を読んでみようと思い立ちました。
先日手に取ったのが、ジョナサン・スウィフトの『ガリバー旅行記』です。子どもの頃に映画や絵本などで目にしたことがある、という方も多いのではないでしょうか。でも、大人になってから改めて読んでみると、まったく違った世界が見えてくるから不思議です。
小人の国や巨人の国は、映像化もされていて比較的よく知られていますが、空飛ぶ島や馬の国については、「そんな話もあったの?」と驚かれるかもしれません。
特に印象的なのは、最終章に登場する「フウイヌム」という馬たちの国です。そこでは馬たちが理性的に社会を運営していて、一方で人間に似た「ヤフー」という野蛮な存在が卑しまれています。ガリバーは最初、馬が支配する世界に戸惑いますが、徐々にその理性的で秩序ある社会に惹かれていきます。そして最終的には、自分が人間であることすら恥ずかしく感じてしまうようになってしまいます。
読み進めるうちに、「人間らしさとは何か」「理性とは何か」といった問いが頭をよぎります。ただの空想旅行譚に見えて、実は当時の社会や人間の愚かさを痛烈に風刺した、なかなかに骨太な作品です。
とはいえ、重たすぎず、ユーモアや皮肉もたっぷりで、堅苦しさはありません。忙しい毎日の合間に少しずつ読み進めるのにもちょうどいい一冊だと思います。
もし読んだことがない方がいたら、ぜひ一度、大人の目線でガリバーと一緒に旅してみてください。
D2 H.O.