当教室で学べること・目指せること
当教室では臨床から研究開発まで幅広く学ぶことができます。
①医学物理士
医学物理士に必要な知識、技術を習得できます。臨床現場で実際にトレーニングを受けながら治療計画手法、線量検証に関して勉強します。
日本では線量計画士(ドジメトリスト)がおらず、医学物理士の業務の1つに治療計画も含まれます。実際に患者さんに照射する治療計画を立案できるようになるためにはこれまでの治療装置の特性、治療計画装置のアルゴリズムやエネルギーの違いなど勉強しておく必要があります。また、過去の治療計画手法も勉強した上でよりよい治療計画手法を提案することも求められます。また、他職種である医師や診療放射線技師と連携することも重要です。当院では臨床現場で働く医学物理士を一部体験もしながら勉強することができます。
②医療に関わる研究開発
当研究室では研究開発も積極的に行っています。
放射線治療に関わる新たな治療計画システム開発、線量測定技術の開発を行っています。
さらに、放射線治療以外で医療全般のAI開発も積極的に進めています。こちらは他診療科、企業、他施設など、国内のみならず海外の研究チームと共同研究を進めています。
これらの大きなプロジェクトの一部を学生研究として担当していただき、研究開発のノウハウや研究チームでの役割を勉強していただきます。医学物理士に関わらず理工系、情報系の学科出身でAI研究開発に関わりたい方も広く募集しております。
研究内容は研究紹介をご覧ください。
本教室のこれまでの歴史
研究室開設まで
広島大学では、2011年 (平成23年) より医学物理教室開設に向けた準備が開始されました。広島県が同年11月に策定した「広島県新地域医療再生計画」で、広島県はじめ関係機関の共同プロジェクトとして人材と機器を集約する「高精度放射線治療センター」 (仮称) の整備が計画されました。この計画では医師や医学物理士などの専門スタッフの確保が課題となっていました。そこで放射線治療を担う人材の育成及び地域連携体制構築のため、広島大学にがん医療の集約化に向けた人材育成 (寄附講座の創設) の開設が検討されました。この事業は、広島県内の放射線治療医及び医学物理士の増員および広島県内における高精度治療をはじめとした放射線治療の地域連携体制の構築を目的として立ち上げられました。
放射線治療連携学講座の開設
2012年 (平成24年) 10月に広島県の寄附により広島大学大学院に寄附講座「放射線治療連携学講座」が設置されました。以下の事業を行う講座として、小澤修一寄附講座准教授 (医学物理士)、土井歓子寄附講座助教 (放射線腫瘍医) が着任しました。
- 高精度放射線治療に関する教育・研究
- 放射線治療を適切に実施するために品質管理や治療計画の最適化を担う医学物理士の養成に向けた教育・研究
- 県内における放射線腫瘍医の確保・育成のあり方に関する調査・研究
- 県内における放射線治療の水準向上と標準化(均てん化)及び医療施設の機能分担・連携により効率的に医療を提供できる体制の整備に関する調査・研究
寄附講座活動期間に、医学物理士養成コースとして6名の修士を輩出しました。また、2012年度 (平成24年度) から稼働した中国・四国地区10大学 (基幹校: 岡山大学) による合同事業「中国・四国高度がんプロ養成基盤プログラム」である「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」に参画し、小澤寄附講座准教授は広島大学の医学物理士養成コースWG リーダーとして医学物理士養成を推進しました。医学物理士養成コースの海外研修コーディネータとして、2014年 (平成26年) 2月10日〜13日に米国のフロリダ大学への研修および、2015年 (平成27年) 2月23日〜25日にカナダのサニーブロックヘルスケアセンターへの研修を取りまとめました。
現在まで
2015年度以降は後述の教員が着任し、継続して医学物理研究、医学物理士人材育成、臨床業務 (放射線治療品質管理) を行っています。現在は常勤2名、非常勤3名の協力体制で活動しています。
大学院生が指導教員と協力して行う大学院研究のほかに、病院診療支援部放射線治療部門 (診療放射線技師) との共同研究、原爆医学研究所との共同研究、大学院統合生命学研究科との共同研究、院内の他診療科との共同研究を積極的に展開しています。
大学院研究テーマは、当グループのこれまでの研究活動を入学希望者に事前に紹介し、入学時に本人の希望を聞いた上で研究テーマを相談しながら決めていきます。当グループで現在取り組んでいない新しい研究テーマも歓迎します。 また、全国規模の臨床試験にも多く参加しており、大規模データを対象とした医学物理研究にも積極的に取り組んでいます。
修士課程2年と、博士課程4年のコースがあります。修士課程は医学物理士認定機構の認定を受けており、修士課程在籍2年次に医学物理士認定試験を受験することができます。また、数年に1度開催される、IAEA主催の放射線治療トレーニングコースにおいて、講義や実習の講師を担当しています。
当院放射線治療センターは、X線・電子線外照射 (リニアック2台)、高線量率小線源治療 (RALS 1台)の他に、低線量率小線源治療や内用療法も行っています。 外照射では主に強度変調放射線治療、定位体幹部放射線治療、高線量率放射線治療の品質管理のみならず、新規システム導入時のコミッショニングや、業務効率化のシステム作りを積極的に行っています。
氏名・職位 | 在任期間 | 備考 |
小澤修一 特任准教授 | 2012.4−2015.3 寄附講座准教授 2015.4− 特任准教授 | 2015.4− HIPRAC |
西尾禎治 特任教授 | 2015.4−2016.10 特任教授 | 2016.11 東京女子医科大学に転出 |
齋藤明登 診療講師 | 2015.4−2016.6 助教 2016.7−2023.8 診療講師 | 2023.9 帝京大学へ転出 |
山口崇幸 助教 | 2015.11−2016.10 助教 | 2016.11 北海道大学へ転出 |
松下慶一郎 研究員 | 2016.4−2016.9 研究員 | 2016.10 京都府立医科大学へ転出 |
三木健太朗 助教 | 2016.10–2021.3 助教 | 2021.4 杏林大学へ転出 |
三浦英治 特任助教 | 2017.4– 特任助教 | HIPRAC |
中尾稔 特任助教 | 2018.4– 特任助教 | HIPRAC |
河原大輔 助教 | 2019.4–2024.3 助教 2024.4- 講師 |