放射線治療によるDNA損傷についての研究
大学院医歯薬保健学研究科(博士課程) 今野 伸樹
平成29年4月に放射線腫瘍学講座の大学院に入学させていただきました。以前から放射線生物学の研究がしたいと考えておりましたが、その希望通りに原爆放射線医科学研究所細胞修復制御講座の田代聡先生にもご指導いただく形で、放射線治療によるDNA損傷についての研究を開始させていただきました。この研究の目的は、個々の患者さんの放射線治療により生じるDNA損傷や染色体異常を評価し、治療効果や有害事象との関連を解明することです。現状、放射線治療による治療効果、有害事象の予測には、照射体積や照射線量を考慮した線量体積ヒストグラムを用い一律に評価していますが、個々の症例における放射線感受性は考慮されていません。この研究は放射線治療によって生じる血液中のリンパ球の染色体異常やDNA損傷による変化を直接観察し、それらの変化が治療効果や有害事象にどのように関連するかを研究するものです。少し先の話になるかもしれませんが、そうした関連性を見出すことができれば、DNA修復能に応じた個別治療を実現できる可能性もあると考えています。現時点では必ずしも良い結果が得られるかはわかりませんが、将来目の前の患者さんの役に立てるような研究結果が残せるよう努力したいと思います。

