JASTRO22参加報告

11月10~12日に広島で開催されたJASTRO 2022に参加させていただいたので報告したいと思います。今回は2019年名古屋大会以来3年ぶりの現地開催となり、コロナ禍でWeb開催が続いていたので参加を楽しみにしていました。また、今回の学術大会は広島大学の主催であり、大会長は永田教授が務められました。

私は大会2日目の要望演題7 人工知能 (AI) 1というセッションで、「前立腺癌患者におけるDosiomicsを用いた生化学的再発リスクの評価:サブグループ解析」というテーマで口述発表させていただきました。大変光栄なことに、JASTROでの要望演題での発表は第32回大会(2019年, 名古屋)ぶりの2回目になります。これまでも何度か国内や海外で口述発表させていただく機会がありましたが、久々の口述発表であったので緊張しました。

私の研究は、前立腺癌患者の線量分布をDosimoicsを用いて解析し、予後予測や治療計画の評価に応用するものです。一般的に治療計画の評価に使用されているDVHは、前立腺癌のような比較的小さなTargetの評価には適さないこともあり、これまでDVH指標が前立腺癌の予後に与える影響は明らかにされていませんでした。そこで我々はDosiomicsを線量分布解析に用いることで、初めて前立腺癌患者の予後に影響を与える線量因子を明らかにしました (Y Murakami et al. IJROBP. 2022;12:247-259)。今回のJASTROでは、治療前PSAやGleason grade groupで患者を層別化すると、大変興味深いことに、患者背景によって線量分布の質が予後に与える影響度が異なるという発表を行いました。本研究の結果から治療計画の効率化が期待でき、研究成果は国際雑誌に投稿しています。

現地での学会参加の醍醐味としては、他施設の研究者との交流ができることです。今回のJASTROでも、「論文読みました。医局の抄読会でも使用させていただきました」や「Y.Mさんが開発された指標を使わせていただいて新たに研究を始める予定です」など、数々の嬉しいお声かけをいただきました。研究者としては、自身の研究が自分の知らない場所で役に立っている(臨床を以前より前進させている)と思うと、これ以上嬉しいことはありません。今後も自身の臨床、アカデミア、企業という3つの経験を活かし、臨床に高いインパクトを与える仕事をしていきたいと考えています。

Murakami Y, et al. Dose-Based Radiomic Analysis (Dosiomics) for Intensity Modulated Radiation Therapy in Patients With Prostate Cancer: Correlation Between Planned Dose Distribution and Biochemical Failure. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022;112(1):247-259.

博士課程2年 Y.M

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です