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神経内分泌腫瘍(ルタテラ治療)

はじめに

ルタテラ(ルテチウム-177ドタテート)治療は、ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍に対して開発された、先進的かつ効果的な治療法です。ルタテラ治療では、ベータ線という放射線を放出するルテチウム-177という物質を合成した薬剤が、腫瘍細胞の表面に存在するソマトスタチン受容体に特異的に結合し細胞内に取り込まれることで、正常な細胞に与える影響を最小限に抑えつつ、腫瘍細胞に効果的に放射線を照射します。大きな臨床試験の結果、これまで用いていた治療よりも効果がよいこと、重い副作用も少なく安全性も高いことが示されています。当院では、2022年5月より本治療を導入し、現在は院内及び市中および県内外各施設からの紹介にも対応しています。

ルタテラ治療の原理(ノバルティスファーマ社提供)
治療前:肝臓に多発性の結節(左図) 治療後:結節は著明に縮小(右図)

治療の流れ

  1. 治療前の準備:患者さんには事前に詳しい検査を受けていただき、ルタテラ治療が最適な選択肢であるかどうかを確認します。
  2. 治療は、放射線治療病室あるいは本治療用に特別な措置を講じた病室に入院して行います。治療は午前から午後にかけて点滴で行います。入院期間は通常、3~4日です。治療は8週間の間隔をあけて4回実施します。
  3. 治療期間中および治療後も定期的な経過観察を行い、副作用や治療効果を評価します。必要な場合には他の追加治療を適宜施行します。
放射線治療病棟外観(左図)  治療室(中央図)  治療時のベッドサイド(右図)

有害反応(副作用)

主な副作用には、一時的な吐き気、倦怠感、血球数の低下、腎機能の低下などがありますが、これらは通常一過性です。非常にまれですが、重篤な副作用および治療後長期経過後に血液腫瘍を発症することが報告されています。

注意点

本治療では特別な治療室への入院が必要です。国内の治療可能な病室数が不足しているため、待機期間が長くなることがあります。体内から放出される放射線値が国の定めた基準値を下回るまでの入院が必要です。また、入院中の着替え、排せつ、食事などはご自身で行っていただく必要があります。体内に残存した微量の放射性物質がほかの人に与える影響を考え、退院後2週程度は生活に一定の制限をお願いしています。詳細は治療の説明時にお伝えします。

紹介を希望される先生方へ

ルタテラ治療の適応となる患者さんのご紹介をお引き受けしています。当院でのルタテラ治療は、ルタテラ治療ワーキンググループにより取りまとめて行っています。ワーキンググループは、放射線治療科、がん化学療法科、消化器内科、消化器外科を中心として構成されており、必要な検査実施の確認、治療適応の有無、先行治療の検討、治療優先度の検討などを行います。当院は、放射線治療病室と特別措置病室の両者を運用し、なるべく待機期間を短くするように努めています。

治療のご紹介は、各診療科あるいはがん化学療法科*へのご紹介を検討いただければと思います。
オクトレオスキャン未施行の患者さん、治療の適応になるかどうか分からない患者さん、今後検討する可能性がある(他治療施行中の)患者さんのご紹介、医療機関からのご相談も受け付けております。
(*がん化学療法科は原発臓器に依らず対応しております。)

ルタテラ治療の相談窓口

がん化学療法科外来:082-257-5559
放射線治療科外来:082-257-5558
広島大学病院代表:082-257-5555
広島大学病院HP(診療科のご案内):
https://www.hiroshima-u.ac.jp/hosp/sinryoka/shinryo_ika